こんにちは。
ゼロイチエステートの店舗仲介スペシャリスト
坂本 徹(さかもと とおる)です。

本日は自社ビルの1階の借り手を探して欲しいという
不動産オーナー様からのご依頼で飲食店の出店希望の方と
お引き合わせした際に起きた出来事をお話します。

今回の貸主は渋谷エリアに本社を構えておられる法人様でした。
そのビルの1階部分で今まで自社でレストランの店舗運営をされていたのですが、
この度貸し出す方向にシフトチェンジされるとのことで、
仲介を依頼されました。

なるべく費用をかけずに貸し出したいという要望の下、
レストランの設備一式を残したまま、居抜き物件として
借り手を探すことになりました。

渋谷エリアのレストランの居抜き1階店舗という
アピールポイントと
ビルそのものが綺麗だったこともあり
リーシングを開始してから程なくして
複数の店舗出店のお申し込みを受けました。

不動産オーナーさんによる選考の結果、
その中の1社と契約締結を前提として
交渉を進めていくことになりました。

しかし、いくつかの条件交渉を乗り越え、
契約書の内容も合意に至り、
契約締結日も確定したある日、
不動産オーナー法人の担当者さんから
私に一本の電話があったんです。

「貸し出し部分の面積ですが、
募集概要の記載より『7坪』広かったです。
つきましては、坪単価×7坪分を増額して計算し直した
月額賃料に改めたいと思います。
という内容でした。

店舗や事務所の賃貸では、
「1坪いくら」という概念でやりとりすることが主流です。

「総額いくら」の前に「1坪いくら」
という会話が交わされることが多いのです。

「1坪の賃料を2万迄で探したい」
「1坪4万は高すぎるよ!」といったように使います。

渋谷の店舗物件概要書にも、
坪単価の表示はされていました。

因みにこの物件は坪@3万(つぼたんかさんまんえん)です。

私は不動産オーナー法人の担当者に伝えました。

「いやいや、ちょっと待ってくださいよ。 
面積が7坪増えたら3万×7坪=21万増額ってことじゃないですか。 
契約内容にお互い合意した後にその話は、 
〇〇(入居テナント)さんは絶対に呑まないですよ。 
そもそもこれを伝えたらこの店舗仲介の件は破棄されてしまいますよ。」

私たちゼロイチエステートは
新しく飲食店やサービス店舗を開業される人を応援する為に創業しました。
そのため、不動産オーナー法人側ももちろん大切なお客様ではありますが、
道理の通らない事はしっかり伝えなくてはなりません。

不動産オーナー法人の担当者とかなりの話し合いを行い、
最終的には、オーナーからの
「面積増額による賃料増額」の言い分は、
不動産オーナー法人にとっても店舗入居者にとっても
お互いにとって得がないことをご理解いただき、
「7坪分の増額」にはならず、
両者同意の上で契約を締結できました。

もちろん増額の件を私の口からテナント法人の社長さんに伝えた時は
社長さんの反応は予想通り
「それ呑まないといけないのなら、もう契約やめてもいいです!」
とおっしゃられていました。

最終的にまとまって本当によかったです。

契約後のテナント工事も順調に進み、
無事飲食店がオープンしました。

この契約を終えて痛感したのが、
『世の中の物事は全てタイミングがとても重要』
ということです。

店舗物件概要書に最初から7坪分も入った賃料が
記載されていればこのようなことにはなりませんでした。

またせめて、内見中や交渉開始のタイミングで
不動産ビルオーナーから「面積相違による賃料増額」の
お話がでていれば検討しやすかったかと思います。

契約直前のタイミングだったからこそ、
契約を破棄する、というような話にまで発展してしまいました。

飲食店はもちろんのこと、店舗ビジネスの開業をお考えの方は、

  • 物件概要書と実際の場所を見ながら内見をする
  • 店舗ビジネスに強い不動産会社に仲介をお願いする
  • どんな些細なことでも懸念事項があれば質問する

ということをぜひ頭の片隅に置いておいてもらえたらと思います。

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