こんにちは。ゼロイチエステートの店舗仲介請負人、
目利きのSHINGOです。

本日のお話は東京の北千住駅にある、
飲食店居抜き物件の店舗仲介業務の際に体験した出来事です。

今回の物件は元居酒屋さんの居抜き物件で、
以前のお店はオープンしてから1年も経たずに閉店しておりました。

内装も美装で家賃も安め、
とても反響の多い、大人気の物件でした。
ですが、なかなか決まらない物件でもありました。

これには大きな理由が1つありました。
この物件、飲食店に必要なとあるものが無いんです。

何だと思いますか?






なんと、

「グリストラップ」が無い物件だったのです。

グリストラップとは、簡単に言うと、
厨房に埋め込まれている洗い物で出る油やゴミを、
下水道に直接流さないようにするための「桶」のようなものです。

このグリストラップは3槽構造となっており、
その構造で段階的に油脂分やゴミを取り除きます。

第1槽で、残飯や生ゴミといった大きなゴミを受け止めます。
この桶は網目状になっていて、
ご飯粒以上の大きさのごみは通れません。

第2槽では小さなゴミを沈殿させせき止めます。
ここでは、流れている水の勢いを仕切り板で弱め、
分離した油脂分が第3槽に流れるのを防ぎます。

第3槽では、最後に不純物を可能な限り
取り除いた排水を下水道へ流すという仕組みになっています。

飲食店ではここを詰まらせないように
毎日掃除を行うことが必要です。

グリストラップが、環境に配慮した
重要な「桶」だということは
ご理解いただけたかと思います。

では、何故このお店はグリストラップ無しで営業していたのか?

実は、法令上グリストラップの設置は義務とされてますが、
その明確な適用基準が定められていないんです。

なんとも難しいですよね。

確実なのは、地域の下水道課に問い合わせることですが、
私の経験上、設置をするかしないかは、
最終的にはその会社のモラル次第であると感じています。

つまりは、CSRを意識している企業かどうか?です。

CSRとは
Corporate Social Responsibilityの略。
企業の社会的責任のことを指します。

業績などの経済面にだけ注力するのではなく、環境に配慮した商品開発や、製品の安全性、従業員の福利厚生といった社会面への配慮をした経営を行う責任があるという考え方です。

法令を守るため、というよりも、
「自分のお店を守るため」「環境を守るため」
グリストラップを設置するべきなのです。

設置しない場合のリスクとして、
環境破壊はもちろんのこと、ビジネスとしても

  • 店舗の排水詰まりの頻発による営業損失
  • 下水管を詰まらせることによる損害賠償

などが考えられます。

特に下水管の詰まりは、
近隣住民に被害が及ぶ場合もあり、
数百万円の賠償金を支払わなくてはならないケースもあります。

こういったことから、
このまま居抜きとして借りて、
居酒屋の営業を開始すると、
建物下水道管に致命的なダメージを与えかねません。

不動産物件オーナーの貴重な資産を守るため、
ご自身の店舗運営のため、
環境配慮のためにも、
グリストラップを設置して欲しいのです。

今回の物件は、
多くの飲食店出店検討者が検討されましたが、
グリストラップが設置していないことから、
1年近く空き物件のままでした。

その後、どこかの不動産会社が仲介したようで、
そのままの状態で居酒屋さんがオープンしていましたね。

建物オーナーも、不動産仲介会社も、出店企業様も、
CSRを意識して欲しいなと強く思います。

飲食店居抜き物件を検討されている方は、
このCSR的な観点で物件を見ることも大切だと思います。

まとめ

「店のために」「環境のために」CSRを心がけた店舗運営を。

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