こんにちは。
ゼロイチエステート、代表の坂本徹です。
これから開業を希望される方に必ず必要となってくるヒト、モノ、カネ。
中でも、最も時間を要するのがモノ、つまり店舗物件であるというケースは少なくありません。
お部屋探しと異なり、都市部の希望する駅で予算に見合った店舗物件がスグに出てくることは稀です。
とはいえ、理想の店舗物件が目の前に現れたからといってすぐに飛びつくのは得策とはいえません。
まずは、いくつかの点に気を配り、納得した上で契約へ進みましょう。
今回は、内見時に確認しておくと後々ためになる事項を3つ紹介していきます。
① インフラ設備
まず、店舗物件を選定する際に注意を要するのが電気、ガス、水道といったインフラと呼ばれる設備です。
考慮すべきはその容量ないし大きさです。
事前の確認を怠ると、いざ開業となった際に、あれができない、これもできないといった、イレギュラーが出てきかねません。
近年、居抜き物件を賃借して事業を開始される方が増えています。
前テナントが〇〇屋さんだから設備も問題ないハズと思いがちです。もちろん、おおまかにはこの認識は決して誤っていません。
しかし、開業時のトラブルで、度々耳にするのは「ガスの容量が小さかった」というケースです。このため望んでいたお料理の提供を断念せざるを得なかった、というのはよくある話のようです。
また、空調(エアコン)を動かすのに動力を用いるケースが多いです。
古い建物だと稀に入っていなかったりします。このような事項は、内見時に不動産屋に確認、または東京ガス等へ自ら問い合わせをして事前に不安を払拭しておきましょう。
②トラブル歴のチェック
次に、把握すべきは過去に起こったトラブルのヒアリングです。
具体的には漏水等の設備的な事項、騒音による近隣との揉め事等が当てはまります。
内見する店舗の上階で飲食店が営業している場合、漏水が発生する可能性が少なからずあることに留意しましょう。酷い場合、既に起こっているのに当事者が気付いていないというケースすらあります。
地下階であれば、メンテナンスを怠ることに起因する汚水槽・雑排水層(汚水を溜める升)が溢れる事態や排気・臭気による隣とのトラブルというのも多いです。
これらを事前にヒアリングしておくことで、賃料の交渉材料にしたり、トラブルの事前回避に役立てることが可能となります。
こうした懸念事項を事前に把握した上で契約した場合と、事後に知った場合では心証が格段に変わってくるのが人というものです。後者の場合だと、訴訟にまで話が大きくなることすらあります。
目に見えないところまで、細かくチェックされることをお勧めします。
③リース品が残っていないか確かめる(居抜き店舗の場合のみ)
最後に、居抜き店舗への入居を希望する場合にリース品が残っていないか確認をしましょう。
飲食店であれば空調や厨房機器、クリニックやサロンにおいてもマシン等さまざまなニーズがあると想像します。
居抜き渡しでの契約が珍しくなくなり、契約条件のなかに造作譲渡という項目が加わるケースが増えています。これは「内外装や設備、椅子テーブル等の什器備品を買い取ってね」というものです。
申込みする際には、譲渡される造作物がいくらくらいの価値があるかを考慮し、賃料を含むその他の費用と差し引いて計算する必要があります。造作譲渡で提示する金額が入居できるか否かの肝になることもあるので、無視できない存在です。
そういった造作物のなかにリース品が紛れ込んでいる場合、残債が表記された明細書を売主(前テナント)から出してもらいましょう。
ベストなのは、残債を売主側で清算してもらい、造作の所有権をリース会社から売主側へ移管しておくことです。それが難しければ対象となるリース品を撤去又は移設してもらうのも有りです。リース会社の方が来て撤去していきます。
避けなければならないのは、高額の造作譲渡代を支払い、契約して間もなくリース会社から請求書が届くという事態です。売主側と連絡が取れれば解決できそうですが、仮に連絡が取れなくなったという場面を想像してみてください。費用を投じて手にしたはずの造作物に追加でお金を支払わなければならない事態になりかねません。事前確認を忘れないようにしましょう。
以上、初めて出店される方が店舗の内見で絶対に確認するべきことを3点ほど挙げてみました。
これが全国展開のチェーン店となると内見時に10名近くのプロ集団が訪れたりします。
それぞれが専門領域の観点から出店できる、出来ないを判断します。全国に何百店も展開する企業であっても、そのくらいにシビアに出店可否を判断するのです。
意識しないと目が届かないところまで、出来うる限り事前確認をし、意中の物件で契約しましょう。