こんにちは。
ゼロイチエステート、代表の坂本徹です。
今回のコラムでは、飲食店を始めたい人に向けて、事業を運営するために必要なビジネスプランを作成する手順やそのヒントについて解説いたします。みなさんの物件選びのご参考にしていただけますと幸いです。
1.ビジネスプラン(事業計画)とは?
ビジネスプラン=事業計画ですが、何のために作るのかご存知でしょうか。
飲食店に限らず事業を興す際は、銀行や出資者から資金調達を行う場合がほとんどです。中長期的に、その事業が発展するのか、将来性がわからないと資金を援助できませんよね。そのために具体的な事業内容やスケジュール、売り上げ予想などをまとめた資料を作成します。これを「事業計画書」と言います。
また、事業計画書は、店舗を借りる際にも必要になります。オーナーや仲介業者、保証会社によっては事業内容が健全で持続性があるものと判断した上で物件を貸すという場合がほとんどです。特に、まだ開業していないビジネスの場合、最低限の資料として事業計画書を用意することでビジネスへの信頼性を高め、安心して賃貸契約を結んでもらえるようにする必要があります。
2.事業計画書の項目について
事業計画書はフォーマットはありませんが、実際に事業計画書を作成する場合、何が必要になるのでしょうか。必要な項目について解説します。
事業内容
「何を誰に売るか」「どのようなサービス(商品)を提供しているのか」という最も根本的な部分です。店舗を表す、キャッチフレーズのようなもので、「ワーキングママに向けた、テイクアウトのお惣菜屋さん」のように、イメージが伝わる言葉で、簡潔に提示しましょう。ホームページやSNSのコピーとしても使用することができます。
企業理念
店舗でのサービスを通して、どんな価値を世の中に創造したいか企業理念を書きます。「誰のために」「何のために」といった、店舗の存在意義のようなものを考えてみましょう。
強みや特徴
特に、銀行からの融資を受ける場合、返済の見通しのないビジネスと判断されたら融資を受けることが難しくなります。そこで重要となるのが、自分の店舗にしかない「強み」を持っていることで他の店舗との差別化を図ることができます。メニューやコンセプトの特徴、また雇用形態など、「〜という部分が他店と違う」としっかり説明できるようにしましょう。
経営戦略
開店して、お客様を待っているだけでは売り上げは伸びません。まずは、店舗を知ってもらうための戦略が重要です。効果的にアピールする方法や、ターゲット層を惹きつけるメニューなど、「特徴」「強み」と「売り上げ」を結びつける具体的な方法が、経営戦略といえるでしょう。経営戦略は、飲食業専門のコンサル会社にお願いする方法もあります。専門的な視点から、一緒に戦略を立ててくれるため、初めて飲食店を開業する人は、相談してみるのも良いかと思います。
店舗の運営方法や組織計画
店舗の運営をどのようにしていくかは、経営とも大きく関わります。全てをひとりでこなすのはとても大変です。一緒に運営してくれるメンバーはいますか?
事業計画書の中では、安全・安心な仕入れ先を確保し衛生面に十分に注意していること、採用窓口や雇用条件、採用人数、従業員教育の方針などを示し、食品衛生法や労働基準法などルールにのっとった持続可能な経営を行うことを伝え、また、何が課題やリスクとなり、それをどう防止していくかを説明できることが重要です。
スケジュール
開店の準備段階において必要となるスケジュール。開店予定日はもちろん、工事、仕入れやメニューの確定、採用などのスケジュールを立てましょう。資金調達のための事業計画であれば、店舗のハード面の完成予定日、人員募集やトレーニングの開始日、広告宣伝のスケジュール、開店後のキャンペーン期間の予定など、より細かなスケジュールを提示することで、実現性の高い店舗運営に期待が持てます。
売り上げ・利益予測
メニューごとの販売数、売上高、粗利などの予測値を、月ごと、年ごとに表やグラフを使いまとめます。
損益予測
創業から最初の1年間の損益計算書を、季節変動やイベントを鑑みながら、月ごとに予測して作成します。
資金計画
物件の取得費用や改装費、仕入れや広告宣伝、その他の経費など全てを想定し、初年度分の月ごとの収支計画を描きます。ここに融資による借入金の返済計画も入れ込みます。希望的観測ではなく、実現可能で現実的な計画を立てましょう。
3.飲食店にとっての事業計画書作成ヒント
事業計画書は特定のフォーマットがあるわけではありません。そのため、店舗のイメージを明確に伝えるためには文字だけの羅列にならないよう、適度に、図や表を入れたり、料理や店舗のイメージ写真を掲載すると見やすくなりますね。
また、以下のようなポイントを心がけて事業計画書を作成しましょう。
ターゲットを決めているか
飲食店ですので「誰でも来てほしい」という願いはみなさんお持ちだと思います。しかし、メインターゲットを決めていないと、メニューや店舗のイメージを作ることが難しくなってしまいます。例えば、大衆的といっても、大衆とは一体誰のことをイメージしていますか。メインとなるターゲットを決めることで、お客様の層がより具体的になり、混雑する時間帯やメニュー構成、人員配置、宣伝媒体などが決まって来ますね。
時代、ニーズに合う点を強調する
店舗が時代や地域のニーズに合うことを強調することで、利益予測を裏付け、事業の実現性の高さをアピールすることができます。
例えば、障がいをお持ちの方やお子様連れの方にも優しいメニューやサービスを提供しているや、多言語で話すことができるスタッフを雇用するといった、時代やニーズとのマッチングは、店舗運営において必要不可欠ですね。
4.まとめ
今回は、飲食店を始めたい人に向けて、事業を運営するために必要なビジネスプランを作成する手順やそのヒントについてお話ししました。いかがでしたでしょうか。
特に、事業計画を作ることで、融資だけではなく、店舗運営をどのようにしていくのか、しっかり計画をし確認することができます。
開店をしたいと考えている方の参考になれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。