こんにちは。

ゼロイチエステート、代表の坂本徹です。

今回のコラムでは、出店場所をお探しの方に向けて商店街店舗と物件選びのポイントについて解説いたします。みなさんの物件選びのご参考にしていただけますと幸いです。

1.商店街店舗とは

「商店街」と聞いて、みなさんの頭の中にはどこが浮かびますか?
地元の商店街やアーケード街など大小問わず様々な商店街を思い浮かべた方が多いかと思います。

ここでもう一度、商店街の定義をおさらいしましょう。

経済産業省経済産業政策局調査統計部による商業統計表では「小売店、飲食店及びサービス業を営む事業所が近接して30店舗以上あるもの」をひとつの商店街であると定義しています。
つまり、商店街とは、商店が集まっている地区や商店が建ち並んでいる通りのことをいうのです。

全国には12,568の商店街があるとされており、商店街店舗とはこのような地区にある店舗のことを指します。

2.商店街店舗の特徴

商店街は「横の百貨店」と別名があるように、飲食・衣料・生活雑貨など私たちの暮らしに関わる様々な店舗があるのが特徴です。

規模が大きな商店街になると、メイン通りにはフランチャイズ店舗が多くみられるのも大きな特徴です。メイン通りを中心に街が左右に広がり、脇道には席数が少ない飲食店やファッション関連の小売店、美容系の専門店など個性的な店舗が並ぶ傾向にあります。

また、古くからある商店街は、呉服屋など老舗の店舗が軒を連ね、地域性を垣間見ることができますね。

次は、商店街店舗に出店するメリット・デメリットを解説します。

3.商店街店舗に出店するメリット・デメリット

商店街店舗に出店するメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

<商店街店舗に出店するメリット>

・お客様との密な交流

大型店舗と違い、お客様との距離感の近さを感じることができます。常連のお客様との何気ない会話や近隣の住民の方との挨拶など、お金には変え難い価値がありますね。人間関係が希薄になった今だからこそ、そのような密な関係が築けることはとても貴重です。

・地域に根差したお店づくり

前章で述べたとおり、地域性が垣間見れるのが商店街です。同じ商店街の店舗とともに地域商品券や店舗横断型のスタンプラリーなどイベントを通じて、まちづくりに積極的に関わることができます。

<商店街店舗に出店するデメリット

・増える空き店舗と店主の高齢化

かつては、地域コミュニティの場として繁盛していた商店街。1998年に成立した「大規模小売店舗立地法」により商業規​​制から社会的規制へと転換し、郊外への大規模小売店舗の出店が相次ぎました。商店街を中心とする中心市街地は空洞化している傾向にあり、加えて、店主たちの高齢化に伴う空き店舗がますます増えています。

・地域密着=煩わしさ

店舗、お客様、地域住民の関係性が密になればなるほど、地域に根差した店舗運営ができる反面、商店街のイベントや会合など営業外の活動が増えてしまうことも多く、煩わしさを感じてしまう側面もあります。

今回は、メリット・デメリットを大きく2つずつ解説しましたが、実際は出店しようとする商店街によって様々な特色があります。実際に足を運び、直接経営者の方にお尋ねするのも一つの方法です。

次は、物件選びのポイントを解説します。

4.商店街店舗物件選びのポイント

商店街店舗の物件選びのポイントを5つ解説します。

①店舗の周辺環境

物件選びにおいて、店舗の周辺環境はとても重要です。立地はもちろん、近隣店舗や客層などをしっかり調べておきましょう。自社のサービス内容と合っているのか、分析することも必要です。

②店舗物件の内装・外装

物件が居抜き物件か否か、建物の築年数によって「どの程度改装費用がかかるのか」という点に大きく影響します。

③都市計画区域指定に伴う制限の有無

商店街によっては都市計画区域に指定されていることがあります。この場合、改築や事業の制限、景観保護のため外装に制限が設けてある場合も考えられますので、自治体や仲介不動産屋やオーナー、商店会長などに確認しておきましょう。

④近隣の駐車場

商店街は街の中心部にあるため、駐車場が各店舗にない場合が多いため、駐車場からの利便性の高さは集客へ大きく影響することが考えられます。提携駐車場が何台確保できそうか、駐車場からの距離はどのくらいか自分の目で確かめておきましょう。

⑤旧店舗の背景

その店舗が撤退した背景を知っておくことで事業が立ち行かなくなった原因がわかり、自身が事業を行う際に気を付けることのヒントになります。

5.商店街店舗で出店しやすい業種

地域やお客様と密着しやすく、ひとつの業種に特化した店舗が親和性が高い傾向にあります。ここでは、出店しやすい業種の例をご紹介します。

美容室・ネイルサロン

美容室やネイルサロンは、お客様の滞在時間が長く「自分に合ったサービスを受けたい」という思いで来店されます。

飲食店

店舗自体が狭い場合もありますので、大衆的な居酒屋よりもラーメン店やステーキ専門店など何かに特化した店舗が好まれる傾向にあります。また、コーヒーショップや隠れ家的なBARなど常連のお客様や近隣住民の方が気軽に来店できる店舗も良いでしょう。

商店街店舗は言わば「プロフェッショナル店舗」の集合とも言えます。ひとつの業種を極めたその道のプロだからこそ「一点勝負」ができるのですね。

6.初期費用について

商店街店舗に出店する場合は、テナント料の他に商店街費などの費用がかかる場合がほとんどです。

ここでは、席数が10席以下、面積は10~15坪ほどの飲食店をA商店街に開店する場合を例に初期費用の概算を見てみましょう。

内  容金  額
物件取得費(保証金、礼金、仲介手数料、前家賃)260万円
内装工事費250万円
厨房機器費200万円
備品(食器、調理器具、ユニフォーム)100万円
広告費50万円
その他(保険、当面の人件費など)140万円
組合加入手数料2万円
アーケード利用料(年1回の支払い)10万円
商店街費(年1回の支払い)12万円
合 計1025万円

飲食店出店の相場が概ね1千万円とされていますので、それに加えて商店街へ加入するための費用がかかります。

しかし、自己資金や金融機関からの融資だけではなく、各自治体の「空き店舗対策補助金」や「商店街起業補助金」などを利用することで事業費用の一部を捻出する方法もあります。

また、居抜き物件やDIYなどを活用することにより、内装工事費や厨房機器材費などを抑え、初期費用を下げることができ、相場より安く開店することも可能です。

7.まとめ

今回は、商店街店舗についてお話ししました。いかがでしたでしょうか。

全国的に商店街は衰退しているイメージをお持ちの方も多いと思いますが、商店街を中心にまちづくりを行うことで、地域創生の起爆剤にもなり得る無限の可能性を秘めています。

この記事がこれから出店を検討される方の参考になれば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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