こんにちは。
ゼロイチエステート、代表の坂本徹です。

今回のコラムでは、出店場所をお探しの方に向けて駅前店舗と物件選びのポイントについて解説いたします。みなさんの物件選びのご参考にしていただけますと幸いです。

1.駅前店舗とは

駅前店舗とは「駅近郊のビル内の物件」または「駅から徒歩圏内」の物件のことを指します。人通りの多い駅前は、人目につきやすく幅広いターゲット層が見込まれるため、出店しやすいイメージがありますね。

 その反面、駅前物件は他の物件と比べ、坪単価が高く店舗面積が狭い傾向にあります。それら両方の側面をご自身のビジネスと照らし合わせる必要があります。

2.駅前店舗の特徴

出店を考えられている駅の利用者は、学生が多いのでしょうか。それとも、ビジネスマンが多いのでしょうか。

駅は、世代や性別を問わず様々な人が利用しますが、その駅によって特徴が様々です。当然のことながら、学校が近くにあれば学生の利用者が多くなりますし、ビジネス街ではビジネスマンが多くなります。すなわち、駅の利用者によって店舗の営業形態が大きく左右されるため、駅周辺の状況を分析する必要があります。

また、駅前店舗には大きく分けて2つの店舗形式があります。

<路面店>

路面店とは「通りに面した店舗」を指し、ビルの1階部分にある店舗も路面店に含まれます。通りから直接入ることができ、多くの集客が見込まれます。

<空中店舗>

空中店舗とは、路面店の2階以上の部分に入居している店舗を指します。路面店の対義語として使われ、階段やエレベーターを利用し来店されます。

次は、駅前店舗に出店するメリット・デメリットを解説します。

3.駅前店舗に出店するメリット・デメリット

駅前店舗に出店するメリット・デメリットは以下の通りです。

<駅前店舗に出店するメリット>

・集客力

なんといっても駅前店舗の魅力は「集客力」です。駅の利用者と見込み客は比例しますので、店舗運営の幅が広がります。また、駅そのものが目印になりますので、地図の表記などがわかりやすくなります。

・交通手段の選択肢が広い

駅という特性上、電車以外にバスやタクシーなど公共交通機関が利用しやすい傾向にあります。早朝から深夜帯まで営業することが可能なので、多様な営業スタイルを実現することができます。

<駅前店舗に出店するデメリット>

・店舗が狭く賃料が高め

郊外店舗に比べ駅前店舗は面積が小さく、駅に近いほど地価が高くなるため、テナントの賃料も高くなってしまいます。飲食店の場合、席数が限られてしまうため価格設定に大きく影響します。

・周辺環境の悪化

遅くまで営業することの多い駅前店舗。アルコールを提供する機会も増えるため、お客様通しのトラブルや騒音、匂い、ゴミなど周辺環境が悪化してしまう原因があります。安全な店舗運営ができるよう、近隣の店舗と協力体制を取るなど事前の対策が必要です。


今回は、メリット・デメリットを大きく2つずつ解説しましたが、実際は出店しようとする駅によって様々な特色があります。実際に足を運び、直接経営者の方にお尋ねするのも一つの方法です。

次は、物件選びのポイントを解説します。

4.駅前店舗物件選びのポイント

駅前店舗の物件選びのポイントを5つ解説します。

①駅利用者や駅のそのもののリサーチ

駅前店舗は駅利用者がお客様です。店舗の業種や営業時間に大きく影響するため、駅利用者の世代や男女比、行動傾向などのリサーチは必ず行いましょう。また、始発や終電の時間、駅を利用する人が多い時間帯、駅前の公共交通機関の状況など駅そのものの状況を把握しておくことも大切です。

②店舗物件の内装・外装

物件が居抜き物件か否か、建物の築年数によって「どの程度改装費用がかかるのか」という点に大きく影響します。 また、場合によっては業種が限られてしまうこともありますので、仲介会社に必ず確認をしましょう。

③周辺の状況

駅周辺の状況把握はとても大切なポイントです。例えば、オフィス街でしたらランチタイムの需要も見込まれます。さらに、日中はサクッと食べられるメニューが好まれても、夜はゆっくりお酒を嗜みたい人が多いことも考えられます。そのため、ターゲット層を明確にし、周辺状況とご自身のビジネスを照らし合わせることが必要です。

④近隣の駐車場

駅前店舗は電車の利用者がほとんどですが、地域や時間帯によっては車を利用する人も多いことが考えられます。近隣駐車場があるか、距離はどのくらいか、駐車料金などを確かめておきましょう。

⑤旧店舗の背景

その店舗が撤退した背景を知っておくことで事業が立ち行かなくなった原因がわかり、自身が事業を行う際に気を付けることのヒントになります。

5.駅前店舗で出店しやすい業種

駅前店舗で出店しやすい業種の例を路面店・空中店舗それぞれご紹介します。

<路面店>

路面店は、駅の利用者と店舗の利用者(お客様)が直結します。外から店内を見ることができるため、オープンな業種に向いています。

飲食店

「仕事帰りにフラッと寄って1杯!」そんなお店はイメージしやすく”ザ・駅前”といった感じでしょうか。店内の状況も外から見えるため、客層や空席状況が見える路面店は、お客様から選ばれる店舗のひとつになりやすいです。

また、リモートワークの普及などに伴い、早朝からオープンできるカフェなども一定の需要が見込めます。

ドラッグストア・コンビニエンスストア
朝夕のラッシュ時、素早く商品を購入することができる店舗が駅前にあると便利ですね。

みなさんもよく利用されるのではないでしょうか。多くの人が利用する駅だからこそ、「便利さ」を求めるお客様が多いのも駅前店舗の特徴です。

<空中店舗>

空中店舗は、お客様が階段やエレベーターを利用して来店します。外から店内を見ることができないため、プライベート空間を意識したクローズな業種に向いています。

クリニック系
歯科や皮膚科、マッサージ店など、落ち着いた空間でサービスを提供する業種は、空中店舗でも経営することが可能です。店内の状況が外から見えづらく、プライバシーが守られることでお客様が安心して利用することができます。

フランチャイズの飲食店
路面店と違い、視認性が低く目立ちにくい空中店舗ですが、既に知名度が高く全国展開しているフランチャイズ店は、路面店でなくても集客が見込めます。

駅前店舗は、駅を通勤通学で利用する人以外に、ショッピング目的で利用する人も多いため、利用者層のニーズに合わせた業種で出店することが大切です。

6.初期費用について

駅前店舗に出店する場合は、賃借料他にテナント会費など別途費用がかかる場合があります。

ここでは、面積は20坪ほどの飲食店をA駅前の路面店にオープンする場合を例に初期費用の概算を見てみましょう。

内  容金  額
物件取得費(敷金、礼金、仲介手数料・前賃料)500万円
内装工事費250万円
外装工事費200万円
厨房機器費200万円
備品(食器、調理器具、ユニフォーム)150万円
広告費80万円
その他(保険、当面の人件費など運転資金)300万円
テナント会費(年1回の支払い)20万円
合 計1700万円

駅前店舗は、賃借料が相場より高めに設定されている場合が多く、賃借期間は2〜3年としていることがほとんどです。
しかし、集客や売上が見込みより少ないなどの理由でテナントの入れ替わりが激しい場合もあります。

自己資金や金融機関からの融資だけではなく、各自治体の「空き店舗対策補助金」などを利用することで事業費用の一部を捻出する方法もあります。

また、居抜き物件を活用することにより、内装工事費や厨房機器材費などを抑え、初期費用を下げることができ、想定より安く開店することも可能です。

7.まとめ

今回は、駅前店舗についてお話ししました。いかがでしたでしょうか。
人通りも多いため、幅広い業種での出店がしやすいのが駅前店舗の魅力のひとつですね。

この記事がこれから出店を検討される方の参考になれば嬉しいです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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